8人に1人が人工透析予備軍!腎臓病を進行させないポイント

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腎臓病があると、将来的に透析治療が必要となる可能性が高くなります。さらに腎臓病は、死亡リスクの高い心筋梗塞や脳卒中のリスクも高めるのです。

腎臓病の怖いところは、自覚症状がないまま進行して、自覚症状に気付いた時にはすでに進行を食い止めることができない点です。腎臓病と生活習慣とは関連が深く、生活習慣病を伴うと腎臓病の進行も早まります。

腎臓病の発症・進行を防ぐには生活習慣の見直しと早期発見のために定期的に腎機能の検査を受けることです。腎臓病と透析治療について、また、腎臓病の予防について詳しく見ていきましょう。

成人の約8人に1人が透析予備軍

驚くべきことに、わが国の成人の約8人に1人が透析予備軍と言われています。透析予備軍とはどのような人たちを指すのでしょうか。詳しくみていきましょう。

わが国の透析患者数

わが国の透析患者数は2016年で32万9,609人です。透析治療は、腎臓の機能が低下した患者さんにとって数少ない治療法のひとつです。

言い換えれば、腎臓の機能が低下した患者さんは透析治療を受けることで毎日の生活を送ることができるわけです。しかしその一方で、透析患者の死亡患者数を見てみると、2016年には透析患者のうち3万1,790人が死亡しています。

糖尿病や腎臓病が、人工透析を受けるまで悪化すると、それだけ健康リスクが上がるということを覚えておきましょう。

慢性腎臓病が進行すると人工透析が必要になる

透析治療を行わなければならない腎臓の状態を引き起こすのが、慢性腎臓病(CKD)です。慢性腎臓病(CKD)が進行し、末期腎不全になると透析治療が必要となります。

透析治療の予備軍ともいえる慢性腎臓病患者数は2011年時点、全国で1,330万人と言われています。2011年の成人人口は1憶501万9,000人なので、成人の約8人に1人が透析予備軍と言えるのです。

透析治療を行っている人や透析予備軍の人にも多い腎不全は2016年の死因順位第7位に入っています。慢性腎臓病は死亡のリスクも高い怖い病気なのです。

参考記事1:一般社団法人 日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況

参考記事2:国立循環器病研究センター病院 慢性腎臓病(CKD)

参考記事3:総務省統計局 人口推計(平成23年)

腎不全と人工透析

慢性腎臓病が進行すると透析患者に

慢性腎臓病は進行すると末期腎不全となって腎臓の機能が失われ、透析治療が必要となります。では、人工透析予備軍である慢性腎臓病とはどのような病気で、どのように進行していくのでしょうか。慢性腎不全について詳しく見ていきましょう。

慢性腎臓病とは

慢性腎臓病は慢性的に進行していく腎臓病のことでCKDとも表されます。

慢性腎臓病の定義は、たんぱく尿や尿異常、画像診断、血液検査、病理所見で腎障害が明らかにみられることと、腎臓の働きが60%以下に低下する(糸球体ろ過量GFRが60ml/分/1.73㎡未満)ことのどちらかひとつ、もしくは両方が3か月以上続いていることとされています。

慢性腎臓病の症状と進行

慢性腎臓病は初期には自覚症状がありません。進行していくとむくみや貧血、疲れやすい、夜間尿、息切れなどがみられますが、これらの症状が見られた時にはかなり病気が進行しています。

慢性腎臓病は身体の症状として表立って表れないままに進行していきます。腎臓の機能が低下すると尿毒素や余分な水分が体の中に溜まり、食欲不振、吐き気・嘔吐、意識混濁、けいれんなどの尿毒症の症状やむくみ、高血圧、貧血などの症状がみられるようになります。

慢性腎臓病は原因となる疾患、たんぱく尿、腎臓の働きによってステージ1~5までの5段階に重症度分類されます。

尿毒症や高血圧などの症状がみられても、薬物療法や食事療法、生活習慣の改善の治療によって慢性腎臓病の進行を予防することができますが、進行を食い止められずにステージ5の末期腎不全の状態になると透析治療が必要となります。

参考記事1:e-ヘルスネット「CKD / 慢性腎臓病(CKD / まんせいじんぞうびょう)」

参考記事2:TERUMO「慢性腎臓病(CKD)早期発見のために」

慢性腎臓病の診断

人工透析導入にいたる3つの腎臓疾患

透析治療しなければならない腎臓の機能低下をもたらす慢性腎臓病。慢性腎臓病は腎臓の機能低下を起こす病気全体を指しており、慢性腎臓病の原因疾患にも種類があります。

その中でも、人工透析導入にいたる確率の高い疾患が「糖尿病性腎症」「慢性糸球体腎炎」「腎硬化症」です。

透析導入患者の原疾患

2016年の透析導入患者の主な原因疾患のベスト3は、第1位が43.2%で糖尿病性腎症、続いて第2位が16.6%で慢性糸球体腎炎、第3位が14.2%で腎硬化症です。

透析患者の原疾患における円グラフ

では、透析導入患者の原因疾患ベスト3の病気がそれぞれどのような病気であるのかをみていきましょう。

透析の原疾患 第1位:糖尿病性腎症

糖尿病の三大合併症の一つであるのが糖尿病性腎症です。高血糖によって全身の血管が傷み、腎臓の糸球体の血管が破壊され、腎臓の機能低下を起こすとされています。糖尿病腎症はゆっくりと時間をかけて進行していきます。

初期段階では自覚症状はなく、尿検査で少量のたんぱく尿がみられる程度です。この段階では食事や運動、薬物療法での治療によって改善させることができます。

しかし、腎症が進行してたんぱく尿の値が高くなり、むくみや息切れ、食欲低下、高血圧などがみられるようになると、改善することは難しく腎症は進行していきます。

透析の原疾患 第2位:慢性糸球体腎炎

慢性糸球体腎炎は腎臓の糸球体が炎症を起こし、血尿やたんぱく尿、高血圧、めまい、むくみ、倦怠感、頭痛などの症状が出るいろいろな病気をまとめて呼んだものです。

慢性糸球体腎炎で多いのは糸球体に免疫グロブリンのIgA蛋白が沈着するIgA腎症です。厚生労働省の指定難病でもあり、原因は不明です。

慢性糸球体腎炎も、初期段階では症状はみられず、尿検査時の異常で発見されることがほとんどです。ゆっくりと進行し、徐々に腎機能が低下していきます。治療としては食事療法、薬物療法が行われます。

透析の原疾患 第3位:腎硬化症

腎硬化症は高血圧が長期間続くことで腎臓の細い動脈が動脈硬化を起こして血液の流れが悪くなり、腎臓の機能が低下する病気です。進行すると腎不全に陥ります。

腎硬化症は最近増加傾向にあり、高齢者に多く見られます。自覚症状はなく、尿の異常もほとんどの場合がありません。腎臓の萎縮や血液検査での腎機能障害でみつかることがほとんどです。

治療は血圧のコントロールと食事療法が行われます。悪性高血圧症によって急激に腎機能の低下が進むものを悪性腎硬化症と言います。悪性腎硬化症では心不全や脳出血を起こして死に至ることもあります。

参考記事1:一般社団法人 日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況

参考記事2:一般社団法人 全国腎臓病協議会

人工透析と腎疾患

腎臓病の予防と早期発見のポイント

腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる慢性腎臓病についてみてきました。

慢性腎臓病の怖いところは腎不全に陥って透析治療が必要となるだけではなく、高血圧や動脈硬化、メタボリックシンドローム、脂質異常などの生活習慣病と相まって進行が進み、脳卒中や心筋梗塞などを発症するリスクが高まることです。

慢性腎臓病と心血管疾患の関係

慢性腎臓病は加齢、肥満、喫煙、運動不足、ストレスなどの生活習慣との関連が深く、進行の予防には腎不全の状態まで進行することを防ぐことができます。

日本の研究では男女ともに慢性腎臓病があると心筋梗塞や脳卒中を発症する確率が有意に高くなることが報告されています。

慢性腎臓病の予防

慢性腎臓病は生活習慣病と関連があり、塩分やたんぱく質の多い食事、肥満、高血圧、高血糖、喫煙、運動不足、ストレスは腎臓の機能低下を進行させます。

慢性腎臓病も生活習慣病の予防と同じように、生活習慣の改善を図ることが大切です。食事の塩分・たんぱく質の摂りすぎに注意すること、禁煙、節酒、適度な運動、規則正しい生活、適正体重の維持、十分な睡眠と休養を心がけましょう。

適度な水分をとり、排尿を我慢しないことや薬は必要なものだけ飲むこと、うがい・手洗いの励行や身体を清潔に保つことで感染予防を図ることも腎臓に負担をかけないために気をつけたいことです。

すでに慢性腎臓病の方は、毎日の食事制限が重要となってきます。重症度によって食事制限の内容は異なりますので、主治医や管理栄養士から指導される食事制限を守りましょう。

慢性腎臓病の早期発見のポイント

慢性腎臓病は、ごく初期の頃はまだ治療によって腎臓の機能低下を食い止めることが可能ですが、ある程度まで進んでしまうと進行を止めることは難しくなります。そのため、早期発見が慢性腎臓病の進行の予防の鍵となります。

慢性腎臓病は初期の頃には自覚症状はほとんどみられません。自覚症状が出るのを待つのではなく、自らが慢性腎臓病に対する意識をもって定期的に健康診断を受け、腎機能をチェックすることが必要です。

参考記事1:慢性腎臓病

参考記事2:慢性腎臓病をご存知ですか?

腎臓病と早期発見

まとめ

腎臓病は腎機能低下をもたらして透析導入にいたるだけではなく、心血管疾患を引き起こすリスクも高くなります。糖尿病や高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病があるとさらに慢性腎臓病の進行は加速します。

症状が出てからでは進行する一方ですので、生活習慣を整えるとともに、定期的な健診を受けて腎機能をチェックしましょう。腎臓病は進行しないと自覚症状が出ないこと・早期発見が大切なことを忘れないようにしましょう。

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