【意外と知らない】糖代謝と老化の深い関係って?

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糖尿病は生活習慣や運動不足などさまざまな原因が伴い、多くの場合発症します。「糖代謝」も糖尿病につながる要因のひとつです。実は、老化に伴い「糖代謝」が悪くなることで、いつの間にか糖尿病になっている場合があることをご存知ですか?

老化に伴って糖尿病になると、認知症などのリスクを高めることにつながるので注意が必要です。今回は、「糖代謝」と「老化」に着目し、みていきましょう。

老化に伴う糖尿病患者数の増加

厚生労働省の平成26年患者調査によると、糖尿病患者数は243万3,000人で、35歳以上から患者数の優位な増加が認められます。65歳以上の患者数は165万2,000人で全体の7割近くを占めています。75歳以上の患者数は86万6,000人で、高齢になるほど糖尿病患者数は増えています。

糖尿病と年代別患者数

糖尿病の推移
糖尿病の疑いのある人の推移

出典:厚生労働省 平成26年患者調査 統計表3

また、厚生労働省の平成28年国民健康・栄養調査結果の概要では、「糖尿病が強く疑われる者」、「糖尿病の可能性を否定できない者」の割合が発表されており、耐糖能障害に当てはまる人たちの割合を見てみると、男性・女性ともに40歳代、50歳代で優位に割合が増えています。糖尿病だけではなく、糖尿病を発症するリスクが高い耐糖能障害は40歳代、50歳代から注意する必要があります。

糖代謝とは

私たちが食事から摂った糖質は、身体や脳を動かすためのエネルギー源として用いられています。糖代謝とは、摂取した栄養素が消化され、余分なエネルギーは貯蓄・必要なエネルギーは消費されるサイクルのことをいいます。

糖質の代謝と血糖値

糖質は、単糖類、二糖類、多糖類に分けることができ、私たちが摂取する糖質の多くは多糖類です。摂取した糖質は身体の中で消化されて最終的には単糖類となります。

糖質の代謝は唾液の消化から始まっており、主に小腸で吸収されます。吸収された糖質は身体や脳のエネルギーとして使われることや、筋肉や肝臓にグリコーゲン(多糖類)として蓄えられ、エネルギー源が必要なときに単糖類に分解されて利用されます。一部は脂肪やアミノ酸の合成にも用いられています。

脳のエネルギーとして用いられるのは、ほとんどが血液中のブドウ糖(血糖)であり、安定した脳へのエネルギー供給のために、血糖値は一定に保たれる必要があります。食後は糖質を摂取して血糖値が上がりますが、2時間もすれば血糖値は元の状態まで戻ります。

しかし、糖代謝の異常が起こると、糖質の食後も血糖値が下がらず、食後高血糖がみられやすくなります。また、食後でなくても血糖値が正常値より高くなることがみられます。

身体の中の糖質の量

日本人(体重60kgの場合)の摂取する栄養素を見てみると、ほかの脂質(25%)やたんぱく質(15%)などの栄養素と比べて糖質(55%)が一番多い割合を占めています。
しかし、体内では糖質は1%にしか満たず、摂取した糖質のほとんどがエネルギー源として利用されていることがわかります。(図1)つまり、摂取した糖質は、体を動かすエネルギー源の中心的な存在であることが分かります。

糖尿病と栄養の関係

図1 日本人の摂取栄養素と体組成

出典:厚生労働省 特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム

老化と糖代謝の関係

高齢になるに従って糖尿病になるリスクが高まることには、老化に伴い「耐糖能障害」を引き起こしやすくなることが理由として挙げられます。まずは耐糖能障害について詳しくみていきましょう。

耐糖能障害って?

老化に伴って糖代謝が障害され、耐糖能障害がみられやすくなります。耐糖能障害とは、糖尿病ほどではないが、血糖値が正常より高値となる状態のことをいいます。耐糖能障害は、初期の糖尿病の症状に似ており、食後の高血糖がみられやすくなります。

そのほか耐糖能異常があると動脈硬化が進行し、脳梗塞や狭心症、急性心筋梗塞などのリスクが高まり、メタボリックシンドロームの合併も見られやすくなります。

耐糖能障害により糖尿病を発症しやすくなる

老化にともなって耐糖能障害を起こすことで、糖尿病の発症率も増加します。これには高齢者特有の理由があり、高齢者は症状が他の人よりも症状が出にくいという特徴があります。

体内の血糖値が異常に上昇すると、水分摂取量の増加・のどの渇き・尿量の増加がみられます。しかし、そのような症状が高齢者の場合出にくいことで、耐糖能障害が放置され糖尿病を引き起こしやすくなるのです。また、認知症や認知機能の低下がみられる人も糖尿病を発症しやすい傾向があります。

なぜ老化により耐糖能障害を起こしやすくなるの?

老化によって耐糖能が低下するのには、老化に伴う「インスリン分泌の低下」、筋肉量や身体活動量の低下による「インスリン抵抗性(インスリンの作用が効きにくくなる)の増大」の2つが主に関係しています。それぞれ詳しくみていきましょう。

インスリン分泌の低下

高齢者ではインスリンの分泌の低下が認められることが示唆されています。インスリンの分泌が低下することにより、食後に上昇した血糖値が下がりにくくなり、食後に高血糖を起こしやすい状態となります。

インスリン抵抗性の増大

高齢になると筋肉量が減少しやすくなり、その分脂肪量が増加しやすい状態となります。脂肪量の増加とともにインスリン抵抗性が増大し、インスリンに対して反応しにくい状態となります。

また、高齢になると筋肉量の低下により、基礎代謝量の低下がみられ、エネルギー源として利用される糖質量の減少、身体活動量の低下によって消費されるエネルギー量が減少します。エネルギー使用量の低下も、糖代謝の障害を起こしやすくする原因となっています。

おまけ:糖尿病には長寿遺伝サーチュインのはたらきも関与している

糖尿病や認知症、パーキンソン病などの病気は、老化に伴って増加することが知られていましたが、これらの病気が増える原因は解明されていませんでした。

平成26年に国立大学法人東京医科歯科大学は、糖尿病や認知症、パーキンソン病が老化に伴い起こるしくみには、長寿遺伝子サーチュイン(SIRT1)のはたらきが悪くなることが原因であることを世界で初めて明らかにしました。

今後、SIRT1のはたらきを悪くするしくみを抑える方法の研究が進み、老化に伴って発症する糖尿病をはじめとする病気の治療・予防方法が見つかることが期待されています。

出典:国立大学法人 東京医科歯科大学プレス通知資料

老化に伴う糖尿病を防ぐためには

老化に伴い、糖尿病を発症しやすくなることが分かりました。それでは、高齢になってから糖尿病にならないためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか?

高齢になってから糖尿病を発症しないためには、以下を心がけることが重要です。

  • 筋肉量を維持するために適度な運動をする
  • 早期発見のために定期検診を受診

適度な運動・筋トレを行うことで、筋肉量を維持し、インスリン抵抗性の増大を防ぎましょう。また、エネルギーがしっかり消費されるようになるので、糖代謝異常を起こしにくくすることができます。

定期検診をしっかりと受診することで、未然に糖尿病を予防することも重要です。高血糖による症状が老化に伴い出にくいことを意識しましょう。「いつの間にか糖尿病になっていた」ということを防ぐためにも、定期検診を受けることが大切です。

老化と糖代謝の関係

まとめ

老化に伴い、耐糖能が低下することで糖尿病になりやすくなります。特に40歳代、50歳以上で糖尿病の発症リスクが高くなる耐糖能障害の人の割合は増え、高齢になるとともに糖尿病と診断される人も急増します。

糖尿病は老化に伴って発症する病気ともいわれていますので現在、自覚症状がなくても定期的な検診を受け、十分に注意していきましょう。

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